昨年も悩みの多い年であった。悩みはもちろん、外側からやってくるのではない。自分が作り出しているのであった。だから悩みの解消も外側からやってくるのではない。自分で解決するしかないのだ。
たとえば、2013年の正月に、
「今年中に、綱渡りをしながらジャグリングをできるようになる」
という目標を立てる。荒唐無稽な目標を立てたのではない。どうすれば、自分が働くサーカス団で生き残っていけるかを冷静に考えた結果、「これしかない」と得られた結論である。ジャグリングには自信がある。綱渡りは、ジャグリング一筋できた自分については全く新しい分野だ。数年前から必死で練習して、どうにかできるようになったのだがまだ心もとない。でも綱渡りの名人がひしめいているこのサーカスで、何かお役にたてる存在になるには、綱渡りだけでも駄目だし、ジャグリングだけでも駄目なのだ。でも、いったいどこから練習を始めたらよいのか見当もつかない。
2013年のはじめぐらいまでは、「どうしよう、どうしよう・・・」とおろおろして、自分でストレスを作り出した結果、大事な綱渡りの練習もおろそかになり、得意であったはずのジャグリングの自信も失うありさまであった。
同僚が、
「いいじゃん。ジャグリングがこんなにうまいんだから。綱渡りも、なんとなくサマになってきたよ」
と言ってくれる。でもそんな言葉は自分にとって何の慰めにもならない。
2013年に学んだことは、どうしたらいいのかわからなくて混乱し、やる気を失いかけたり、安きに逃げたくなっている時、とにかく尊敬している人の形だけでもまねることが、自分を支えてくれ、とりあえずロボットのようにでも自分を正しい方向に向かわせてくれるということだった。
そこで、2013年の春ごろから、具体的には、以下のような努力をしてみた。(これを読まれる読者は、「割とふつーね?」と思われる内容かもしれませんが、私にとっては自分の自堕落な本性にかなりメスを入れる行為であり、これを1年続けるのに、自分の薄弱な意志の力は当てにできないので、かなりな創意工夫が必要でした。)
1)平日は毎朝は5時15分に起床後、ジムで運動し、オフィスに8時前に到着。
2)1)を実現するために、晩はできる限り小食にし、23時以前に就寝。
3)1)を行いながら、短時間でも質の良い眠りを確保し、仕事中の体調をよくするため、平日の晩はお酒を一滴も飲まない。(金曜・土曜の晩だけは、少しだけ飲んでもよい。)
4)オフィスのデスク周りはできる限りペーパーレスにし、つるつるに磨く。
一番大変だったのは、2)と3)かもしれない。亭主のグリが毎晩のように夜更けの酒盛りに誘うので、これを振り切って23時に就寝するのが大変であった。始める前に一番難しいと思っていたのは1)でしたが、2)と3)を厳守したら、自然にできるようになったのが意外であった。
初期仏教の修行僧の睡眠時間は、夜の10時ごろから夜中の2時ごろまでとどこかで読んだ。内臓が一番休むこの時間帯にしっかりした眠りを取れば、あまり長く眠らなくとも元気なのだそうだ。たしかに、睡眠時間は6時間と以前より短くなったが、お酒をやめたせいもあり、ほとんど疲れは感じない。
こうやって1年近く続けて見ましたが、ジャグリングをしながら綱渡りをするという最終目標には、けっきょくミクロ前進でしか近づいていない。でも、ミクロ前進しながら時には不安になったり、自暴自棄になる自分の心を、支えてくれ、整えてくれるのが、どうやらこのような形の上での縛りを自分に課すことなのだった。仏教の戒にも、道徳的な意味ではなくて、そういう実際的な意味があるのではないかと思う。
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