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アンビリーヴァボーな話 (5) ジャンおじさん再び登場

じつを申せば、アパートの鍵を開けられず外に締め出されたことは、グリと自分の場合、1度や2度ではない。途方に暮れた時、私たちがまず「助けて〜!」と電話をするのはジャンおじさんだ。どんなにひどい状況の時にも、どんなに不可能に思える状況でも、ジャンおじさんは必ず解決してくれる。

わたしたちのアパートは、外側から閉めると自動的にロックされるようになっている。さかのぼれる限りのいちばん古い記憶は、二人で外出しようとアパートの外に出て、扉を閉めた時のことだ。

かちゃっと不吉な音をたててドアの自動ロックが閉まった。

その途端、お互いにはっと目が合う。
「…グリ、あなた鍵を持ってるわよね」
「いや、中に置いてきた。君は持ってないの!?」
「持ってない…」
その後、数秒間、「なぜ、おまえは、鍵を持ってないんだ!?」と相手を非難しあう声が空しく続く。
鍵屋さんはとうに閉っている時刻だ。
「そうだ、ジャンおじさんを呼ぼう!」
と言うことになった。

ジャンおじさんは、すぐに来てくれた。挨拶もそこそこに、器用な手つきで金梃を使ってアパートの扉を外側から押さえている木の枠をはずすと、ドアと壁の間に1ミリぐらいの隙間ができる。ポケットから取り出した銀行カードをその隙間に差し込み、さっと上にスライドさせた。鍵が開いた!

その間、約30秒。嬉しかったが、
「私たちは、こんなに簡単に鍵が開けられるアパートに住んでいたのか…」
と情けなくもあった。

                     *

次に二人が鍵のかかったアパートのドアの外に締め出されたのは、それからそう遠くない日のことだった。

その顛末があまりにも異常なため、そもそもの発端が思い出せないほどだ。いったいどうして、私がドアの内側に自分の鍵を差し込んだまま外に出て扉を閉めてしまったのか? そしてグリが自分用の鍵でドアを外から開けようとしたとき自分の鍵が見つからないというような事態が、どうしてそれに重なったのか? さっぱり思い出すことができないのだ。

とにかく、
「ジャンおじさんを呼ぼう!」
と言うことになった。

ジャンおじさんはすぐに来てくれたが、前回と違いドアの内側の鍵穴に鍵が差し込んであるため、それがつっかえて、銀行カードを差し込んでもびくともしない。

ドリルで錠を壊すしかないと言うことになり、ジャンおじさんは自宅にドリルを取りに帰った。すぐ戻ってきて手回し式のドリルで金属の錠を壊そうとしたが、ドリルの刃がひしゃげてしまった。

ジャンおじさんは再び自宅に戻り、今度は馬鹿でかい電動式ドリルと巨大な業務用発電機を運んできた。不吉な予感がしたが、一度動き始めた運命は止めることができない。

それからしばらくの間、おじさんは錠を壊そうと電動ドリルを回し続けた。建物中に、扉を壊すドリルの音が響き渡った。なんてセキュリティーのしっかりしている建物だろう。電動ドリルで錠を壊して侵入を試みる怪しい3人組がいるというのに、アパートの誰も様子を見に出てくる気配がない。(あとで向かいのアパートに住むおばあさんに聞いたら、「ほんとに怖かったわ〜。だれかがあなたのアパートの扉をドリルで壊してるんだから…」と言っていた。警察に通報しよう、とか考えなかったのだろうか。)

数時間が経過した。扉には電動ドリルで開けた直径2センチほどの大穴からアパートの内部が見えるほどだったが、錠前は扉にしっかり食い込んで微動だにしない。

「しょうがない、最後の手だ。」ジャンおじさんがおごそかかに言った。

アパートの扉の横の階段は円筒状の壁の中をらせん状に回っている。この円筒状の壁に窓がある。窓を開けるとそこは建物の外側だが、1メートルぐらい離れて私のアパートのトイレの外壁があり、トイレのガラス窓がある。(この建物は、階段のある円筒状の部分に、角柱(アパート部分)を二つくっつけたような形をしているらしい。円筒と角柱の間には当然空間ができると言うわけだ。)

ジャンおじさんは階段の窓を開け、そこから空中に身を乗り出すと、向かいの壁のトイレの窓枠をつかみ、窓ガラスを金梃でガチャンと壊した。割れたガラスの残りをトイレの中に落とし込むと、窓枠だけになった窓(40センチ角ぐらい)に頭から突っ込んだ。階段の窓からトイレの窓までは1メートルほどの空間があり、ここは四階だ。何かの拍子でおじさんが下に落ちてしまったら…と思うと気が気ではない。でも、そのままするすると逆立ち状態でおじさんの足がトイレの窓に消えていく。体の硬いグリや私にはできない芸当だ。おじさんの体がトイレの床に落ちたらしい、どさっという音がした。狭いトイレの床に頭から落ちて、首の骨でも折っていないか心配だが、続いて、玄関のドアの鍵がまわるかちっと言う音がした。おじさんが、静かな顔で内側からドアを開けた。

その直後に起こったことは、誰にも信じてもらえないかもしれない。

おじさんがトイレの窓から中に入っているとき、自分のスポーツバッグの底をもういちど探っていたグリが、
「…あった!」
と言ったのだ。グリの右手には、自分の鍵が握られていた。

                     *

自分とグリには、鍵のことにかかわらず、こんな風にとんでもなくドジな出来事が無数に起こる。完全に自分たちが悪い場合もあるが、先週の出来事のように不可抗力と言える場合もある。いずれの場合も、あまりに途方もない偶然の数々をセットしてくれた神様の馬鹿笑いが聞こえるようだ。その一方で、いつも黙々とその後始末をしてくれているのがジャンおじさんだ。

今回もそうだった。空港でグリのトランクを受け取った後、トランクの中に鍵を見つけて無事アパートに入ることができたが、私の鍵は盗られてなくなってしまった。泥棒さんが合鍵を持っているアパートにそのまま住む気はしない。それで、おじさんが早速新しい鍵を扉につけに来てくれた。あっという間に扉の錠を取り外すと、新しい錠を取り付ける。その後、鍵のひとつを私に手渡し、別のひとつをグリのキーホルダーにつけてくれる。配慮がこまやかで行き届いているのだ。

そして、3つめの鍵を私たちに見せると、
「これは俺が預かっておくよ。お前らは、どうせまた失くすからな!」
と言った。

若き日のジャンおじさんとクチナくん

写真は若き日のジャンおじさんとクチナくん。私は年をとったが、2人は不思議と今も全然変わっていない。

アンビリーヴァボーな話 (4) スーパー・シンクロニシティ (10/27)
アンビリーヴァボーな話 (3) 恐怖についての考察 (10/26)
アンビリーヴァボーな話(2) ジャンおじさん登場 (10/24)
アンビリーヴァボーな話 (1) (10/24)

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Comment

 はじめまして。

 以前から、ご挨拶もせずに、拙ブログのブックマーク
に載せさせていただいております。
(この拙ブログという、表現もこちらではじめて知りました)

 順序が逆になってしまいましたが、ブックマークに載せましたこと、差しさわりがあるようでしたら、お知らせくだ
さい。

 私は、ブログ慣れもしておらず、更新も滞りがちなので
コメントというのも気がひけましたが、やはりしばしば
こちらにお邪魔しており、、、というか、一番お邪魔して
いるのがこちらのブログですので、思い切って、今日
コメントというか、ご挨拶させていただきました。

 片山 洋次郎さんの御本など、これから時間をかけて
読んで行きたいとも思っています。
 県内の図書館検索かけましたら、数冊ヒットしてますので。

 原久子さんの呼吸法なども、本をもとに数年前にやって
みたことがあります。

 これからも、ときどきお邪魔させてくださいませ。

| ocha | 2008/11/17 3:11 PM |

OCHAさん、

はじめまして。
お便りいただけて本当に嬉しいです。

それから私の情けないブログを読んで頂いて、ブックマークにまで載せていただいていること、本当にありがとうございます。

片山洋次郎さんの整体の本は、目からうろこが落ち、実行してみると体がリフレッシュされるようです。いろいろ考えても解決しないときは、とりあえず自分の体に注力するようにと自分に言い聞かせている今日この頃です。

貴ブログ「ocha@林住期〜ある女性の生活日記」もエックハルト・トールについてのコメントもありますね。。。これからゆっくり読ませていただきますね。それでは、また!

| まりあ | 2008/11/19 3:04 AM |

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