年末年始はカーボ・ヴェルデ共和国のサル島のサンタ・マリアの海岸のアパートメントで1週間の冬休みを過ごしました。
カーボ・ヴェルデは西アフリカのセネガルのさらに西の海上に点在する18の大小の島からなる国で、(実際にはアフリカだが)自分にとっては、ヨーロッパの地の果てのイメージのある場所だ。ブリュッセルからは、Thomas Cookで6時間だった。リスボンからはTAPで4時間で行けると聞いた。
さて、本題に入る前に、「カーボ・ヴェルデ」で検索してせっかくこのサイトに来てくださった方のために、ここから少々旅行ガイド風に書いてみます。(写真と動画は自前のため、所々お見苦しい者が入っていますことをお許しください。)
サル島の南端、サンタ・マリアの街の海岸べりにあるOdjo d'Aguaというホテルに部屋を予約したつもりだったのだが、実際にあてがわれたのはそこから50メートルぐらいはなれたPorto Antiguoという別のホテルの敷地内にある、砂浜から少し引っ込んだテラスと庭付きのだだっ広いアパートメントだった。
ちなみに費用だが、サル島で知り合った欧州からの観光客は、多くがオール・インクルジブ(三食・飲物つき)のホテルに1週間の滞在で、フライトも含め1人2500〜3000Euro位のパッケージで来ているようだった。当方は、オール・インクルジブの滞在があまり好きではない。地元のスーパーマーケットで地元のビールやワインを買ってきて部屋で飲んだり、地元のレストランで慣れない食物を食べて下痢になったりするのが好きなのだ。だから、フライト+アパート+朝食だけ込みで上記の半分ぐらいの価格のThomas Cookのパッケージで来た。(クリスマスシーズンは当然割高だが、年末年始しか1週間以上の休みを取れないのでこの時期に来ることになりました。だから、年末年始を外せばもっと安いのではないかと思います。)
エジプトやチュニジアの海岸に行けば、カーボ・ヴェルデよりホテルの選択肢も多くはるかに安いし、海も同じくらい綺麗なのだが、今回は何か別の場所に来たかった。エジプトやチュニジアにまつわる、最近のイスラミスト・テロの記憶から逃れたかったという潜在意識が働いていたかもしれない。
さて、ホテルOdjo d'Aguaの本館は、荒波がぶつかっては砕ける岩の砦の上にあり、そのテラスで太陽と潮風を浴びながら食する朝食はなかなか良い。朝食にシャンパンがでるのは、これはラテンの風習なのだろうがこれもなかなか良い(笑)。
ホテルの右側に広がる白い砂のビーチには、エメラルド色にミルクを溶かし込んだような色の波が打ち寄せて、昼頃になると桟橋に次々と漁師さんたちが大きなマグロやドラードやワフー(バラクーダの一種)を引き上げるので、桟橋はいっときミニ魚市場のような活況を呈する。
新鮮なマグロはそのまま海岸べりのレストランに運ばれ、生のマグロのカルパッチョやヌタにされて、キンキンに冷えたCha(カーボ・ヴェルデ産白ワイン)やStrela(カーボ・ヴェルデ産ビール)と共に海水浴客の胃袋に消えていく。
(写真の手前は、海岸のレストラン「バラクーダ」のテラスで食するマグロのカルパッチョ。クレオル料理らしく、オリーブオイルに細かく切った赤ピーマン・黄ピーマンとパプリカで味付けしてある。ちなみにアパートの向かいの海岸に面したレストラン「ポルト・アンティゴ」で食したマグロのタルタール(ヌタ)はみじん切りの生のマグロにオリーブオイルにみじん切りのケッパーが混ぜ込んであった。非常に洗練された味。ブリュッセルの三ツ星レストラン「シーグリル」で27Euroで供されるようなマグロのタルタールが、いずれも10ユーロ以下で食せます。しかも海岸べりで潮風と太陽を浴びながら。)
サンタ・マリアの周辺には素敵なダイビング・サイトが点在しており、カーボ・ヴェルデ人のガイドに連れられてゴムボートで沖に出て、20世紀初頭に沈没した蒸気船の残骸を見に8〜18メートルほど潜ってみることもできる。蒸気船のボイラーだけがまだ海底に突っ立っており、その周りに何万と言う魚の群れが縦横に泳いでいる。夢のような光景である。
かなり沖まで出なくてはいけないが、トロール船を共同チャーターすれば釣にも行ける。波が荒く、船がほとんど180度に前後にかしぐ航海を4時間続けなければならないので、海釣りのベテランでも船酔いでぶっ倒れてしまう人も出た。
でも、下のビデオの同乗のノルウェー人のおじさんのように、巨大なワフーを見事釣りあげる人もいる。(このノルウェー人のおじさんとはこの航海でお友達になりメールの交換が続いている。)日によっては、巨大なドラード(体長60センチもある)の群れに遭遇して一気に5−6匹も連れることがあると言う。ワフーは単独で泳いでいるが、ドラードは必ず群れで泳ぐのだそう。
トロール船に乗って荒波にもまれているときに、周囲に、枯葉のように激しく波にもまれる小さなボートにすっくと立ったまま魚を釣っている漁師さんたちがいっぱいいた。どっしりしたトロール船でもまっすぐ立っているのさえ難しいほど揺れるのに、あんな井の頭公園に浮かんでいるのと同じようなボートでは海に落ちて潮流に流されて命を落とす人も多いだろう。無事生還した人たちは、上述の海岸の桟橋にマグロやワフーを引き上げて日々の糧を得ることができる。
サンタ・マリアはサル島の南端に位置する町だが、北の方の、荒々しい絶景の見られるムルデイラ海岸や、ブルーアイと呼ばれる洞穴、レモンシャークが泳ぐビーチ、塩田跡、蜃気楼の見える砂漠などを4x4に乗って1日で回ることもできる。
ブルーアイの近くのブラコーナの岩場や塩田では泳ぐこともできる。
こうして、8人のグループで、ガイド料と4x4代金をシェアして1日かけて島のあちこちを回るツアーは、1日1人25ユーロであった。
ガイドの女の子は、サル島の出身で、自分で4x4を運転してガイドもこなす、きびきびして素敵な女の子だった。サル島の経済や産業、教育の話をする時、何度も「カーボ・ヴェルデの人々はいつもお互いに助け合っているので」と繰り返すのが印象的だった。
サル島は、島全体がほとんど真ったいらな砂の荒れ地でおおわれている。木もなければ、畑もない。そんなだだっ広い平らな砂の島のへりに美しい海岸があって、そこにリゾート用の豪華なコロニーや、サンタマリアのような小さい町が存在するだけだ。
島にはほとんど植物がないので、野菜や果物は外から運んで来なければならず物価は決して安くない。この経済構造が変わらない限り観光に頼って行くしかない。
「来年、サル島に初めての大学ができるんです。そこの観光科でみんなが学べれば、私のようなガイド資格が得られて、昼間から酒を飲んでごろごろしている島民も減ります。」
以上、手放しでのカーボ・ヴェルデ礼賛になってしまいました。
サル島はリゾートとしては比較的新しく、ホテルやレストランの選択肢が少なく値段が高めで、地元系のホテルやレストランで働く島民の洗練度が低い(特にホテルで働くカフェオレ色の肌をした女の子たちが、気難しい観光客の対応に慣れないせいか、どこか疲れた不幸せそうな表情をしていることが多かった)。
サル島が健全な観光地として発展して、島民がみんな幸せになることを祈るのだ。セネガルに旅行されるついでにぜひ足を延ばしてみてください。
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