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ヒプノセラピー

自分が望んで選んだ仕事だったが、八方塞がりを経験することもある。今からちょうど1年前のことだ。しかも、のんきな私は自分が八方塞がりの状況にいるとは思いもしなかった。色々つらいことはあれども、仕事がつらいのは当たり前、自分は絶好調だと思っていた。

そういうことに気づくのはまず他人のようだ。

最初にそれを言ったのは、マリオン・セイセン(Marion Ceysen)というフォト・リーディングの先生だった。フォト・リーディングは、リラックスした状態で本のページを高速で繰りながら、写真を焼き付けるようにイメージを網膜に焼き付け、本の内容を脳に大量にインプットしていくテクニックだ。これを知ったのは、ポール・シーリィの「あなたもいままでの10倍速く本が読める」という本によってだった。私は元々本を読むのが比較的速いと思っているのだが、仕事上退屈な文書を膨大に読まなければならず、このテクニックが身につけられればどんなによいかと思ったのだ。(この本と、私が受けたフォト・リーディングの講習については別の機会に書いてみたいと思います。)

4日間の講習の間、フォト・リーディングの実習の他に、なぜ自分がこのテクニックを欲しているのか、これによって何をしたいのかについて、徹底的に考え、皆の前で口に出して言わされた。つまり、目に見える目的の背後にはより大きな目的が控えているはずで、マリオンはそれについて自問自答させることによって、自分が究極にはどうしてそれを欲しているかを各自に気づかせたいと思っていたようだ。

さて、私がフォト・リーディングを学びたいと思ったのは、徹頭徹尾仕事に役立てたいと思ったからで、私の発言もそれに終始した。
マリオン「でもどうして、仕事に役立てたいのかしら」
私「仕事をもっと効率的にやりたいからです」
マリオン「仕事をもっと効率的にできるようになると、どうなるのかしら」
私「色々いいことがあるけれど、自分に自信がつくし、もっと満足感や充実感を得られます」
マリオン「では訊くけど、あなたは仕事をしながら幸せなのかしら」
私「もちろん。マリオン、わたしは人に『あなた、自分の仕事が好き?』と訊かれるといつも『ええ、大好きです!』って答えるんですよ」
マリオンは、美しく魅力的な顔をちょっと曇らせて私をじっと見て「私には、あなたが自分の仕事を好きだとは思えないわね・・・」とだけ言った。

マリオンの講習会と前後して、年末から続いていた四十肩を放置していたために、左肩が腫れ上がって夜も眠れないようになってしまった。20年近く行ったこともなかった病院には行く気がせずに、当地で有名な指圧のカワダ先生のもとに駆け込んだ。(カワダ先生は、後で知ったのだがすばらしい彫刻家でもあった。奥様はユング派の研究者でもあるらしい。)会社に行く前に早起きをして水泳をし、そのままカワダ先生の治療院に行く。「こりゃ、ひどいね」それが私の肩に触ってカワダ先生が最初に言った言葉だった。「あー、こってますか?」「こってるなんてもんじゃないね。何でこんなになるまで放っておいたの?」

カワダ先生の元にはそれから10回ぐらい通っただろうか。まず先生に言われるままに飲酒を完全にストップした。そうすると、確かに疲れやすいのが直ったような気がした。仕事は平日は毎日夜中まで、週末も少しオフィスに行かなければ追いつかない感じだった。それで月に1度か二度は疲れて朝起き上がれないことがある。日本であればこのくらいの仕事ペースはあたりまえのはずなので、疲れて起き上がれないことに非常に罪悪感があった。自分は日本人として出来損ないなのではないかと。やがて、先生に指圧を受けている間、家族にも、友人にも、同僚にも話さなかったことが自然に口をついて出てきた。

私の仕事は一種のコンサルタントだが、営業やカスタマー・サービスのような役割も兼ねている。この会社に勤めて15年ほどたつが、数年前に会社が合併してから会社の経営方針が急激に変わり、端的に言うとお客様に請求する料金がはねあがった。そこで、カスタマー・サービスの私の元に、お客様が怒鳴り込んでくるということが起こる。これまで喜んでくれていたお客様から、文字通り電話口で怒鳴られるのだ。「お前の所との契約は切るぞ」と言われる。私はというと請求額の内訳などを調査し、説明をし、現地人の上司と話し合い値引きの余地がないかを交渉する。すべて苦労して契約を結んだお客様をつなぎとめるための努力なのだか、会社側はまったく喜んでくれない。そんな面倒な客を何でつなぎとめたと言わんばかりだ。怒鳴られるのは平気だが、自分の苦労がお客様にも、会社にも、誰にも喜んでもらえないと言うのはつらい。四面楚歌みたいな気持ちだ。

いまだから整理してこう書くことができるが、当時はそういう状態が数年続き混乱していたのか誰にもそれを話すことができなかった。それが、カワダ先生に指圧をされながらぽつりぽつりと話し始めていた。初めて指圧に通ったのも、こんな話をしたのもよほど切羽詰っていたのかもしれない。前述のフォト・リーディングの教室でも、グループに分かれてのディスカッションの時間にはじめて「オフィスで自分の電話が鳴ると、ぞっとして、体が強張ったようになって受話器を取れないんです」と口に出していた。グループのみんなは、皆それぞれ自分の問題を抱えていたのだと思うのだが、「電話の音を変えてみたら?」とか「受話器を取るたびに自分にご褒美を与えたら取れるようになるかも?」とか、親身になって色々実用的なアドバイスをしてくれたのがすごくうれしかった。

さて、水泳や指圧によって何とか自分をなだめて仕事を続けるのが難しくなったとき、特効薬になったのが自己催眠だった。

とりあえず、電話が鳴ると受話器を取れないと言う状況を何とかすることが必要だった。電話が鳴ると、パブロフの犬のようにお客様から怒鳴られると思い込んでしまうのがその原因なのだろうが、電話が鳴るという現象と、お客様に怒鳴られると言う現象の間には、さしあたって何の関係もないことは頭ではよくわかっている。また、お客様が怒鳴っている相手は私自身ではなく、私のいる会社なのだと言うことも良くわかっていることだった。この頭ではわかっていることを、心にわからせなければならないと思った。

そこで、そのとき読んでいた「クラズナー博士のあなたにもできるヒプノセラピー」にある懇切丁寧な自己催眠の方法を自分に試してみることにした。

この本には、自己催眠のための暗示の豊富な具体例が挙げられている。これを参考にして、リラックスするための暗示、上述の悪循環を生む誤った関係づけ(電話の音→顧客の怒鳴り声など)を解消し現象をありのままに見るための暗示などを入れたシナリオを書き、夜おそく同僚が皆帰ったオフィスに一人残ってそれを読み上げ、自分用のヒプノセラピーのCDをいくつか作った。それを実際に就寝前にディスクマンで聴き、何回かシナリオに手直しして、録音しなおし完成品を作った。

自作のヒプノセラピーCDの効果はなかなか劇的だった。まず、ベッドに横たわり、この本からそのまま取った催眠導入時の暗示を聴くのがすごく気持ちがいい。焼けた砂に水がしみこむように(不肖私の)沈うつな声が心に染み込んでいく。その後に目的の暗示が続くのだが、毎晩聴いている内に導入時の暗示だけですっと眠りに入るようになってしまった。数日後には何とか電話を怖がることもなくなり、元気が出て一時的に持ち直した。(でもそのすぐ後に、自分が癌である事がわかって長期治療のために会社を休むことになったのだが。)

自分の抱えている問題が何であるのかを良く考えて、効果的な暗示を入れた自己催眠のテープは、絶体絶命のときの応急処置としてとても有効だ。自分の問題を発見すること、効果的な暗示を考えることに難しさがあるのかもしれないが。なぜなら自分の中にリソースとしてないものは、いくら強力な暗示を与えても実現できないからだ。

A.M.クラズナー
クラズナー博士のあなたにもできるヒプノセラピー−催眠療法
株式会社ヴォイス 1893円+税






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