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旧題「読書 この秘密の愉しみ」を改めました。
最近本当に読書をしていないので・・・
夏の静かな時期に、休みを取らないで溜まっていた書類の整理や、緊急ではないために手をつけられなかった仕事を始めたりするのが好きです。バケーションシーズンのため渋滞がほとんどない、朝の太陽が燦々と降り注ぐ道を普段の半分位の時間でオフィスに着き、人気のないオフィスで自分のペースで仕事をするのが好きなのです。
と言うことで例年通り夏休みは取らないことに決めたのだが、今年は、週末だけは亭主のグリと森の中で過ごそうと思い、オランダとベルギーの国境に広がるリンブルグの森の中に週末だけコッテージを借りていた。
天気が良ければ、陽を浴びながら近くの川でカヤックをこぎ、夕方はテラスでアペリティフでも飲みながら日が暮れるまでの時間ゆっくりとバーベキューでもしよう。天気が悪ければ、雨の音を聞きながら本でも読んで、夕暮れはやっぱりバーベキューをしよう。・・・と思い、自分はこの週末を大変楽しみにしていました。要は、普段狭いアパート暮らしの自分は、夏の長い夕暮れに樹に囲まれた庭でバーベキューをするということに大変な思い入れがあるらしいのだった(笑)。
ところが、急に亭主のグリが1ヶ月半もマイアミに行くことになってしまった。がっかりである。コッテージの予約を取り消すか、一人でも行くか。。。コッテージの庭で一人さびしくバーベキューをしている自分の姿が目に浮かぶ。一瞬心がひるんで、森に行くにしてもコッテージではなくて、どこかのホテルに泊ろうかとも思うが、前回夏にホテルで一人で泊まって、ホテルのおばちゃんの詮索に満ちた目がうざったかったのを思い出し気おくれがする。思い悩んだ末、予約したコッテージで一人で週末を過ごすことに決めた。
一人で行くことを決心させたのは、週末の二日間コッテージでだらだら過ごさなくともよいように、以前ヴィパッサナ瞑想合宿で行った通りのスケジュールにそって、二日間を瞑想をしながら過ごしてみようと言うアイデアがわいたからだった。
以前このブログにも書いたが、ヴィパッサナ瞑想合宿でのスケジュールは次のようなもので、一日11時間ほど瞑想する。
04:00 起床
04:30 - 06:30 ホールまたは自室で瞑想
06:30 - 08:00 朝食・休憩
08:00 - 09:00 ホールで合同瞑想
09:00 - 11:00 ホールまたは自室で瞑想
11:00 - 12:00 昼食
12:00 - 13:00 休憩
13:00 - 14:30 ホールまたは自室で瞑想
14:30 - 15:30 ホールで合同瞑想
15:30 - 17:00 ホールまたは自室で瞑想
17:00 - 18:00 お茶・果物・休憩
18:00 - 19:00 ホールで合同瞑想
19:00 - 20:15 講話
20:15 - 21:00 ホールで合同瞑想
21:00 - 21:30 講師への質問
21:30 消灯
リンブルグの森で過ごす週末の2日間、起床時間と消灯時間、一日二回の食事、瞑想時間はほぼそのまま踏襲して、夕方の「講和」の時間・「講師への質問」の時間をラリー・ローゼンバーグ著「呼吸による癒し―実践ヴィパッサナー瞑想」の読書に充てることにした。
夜は食事をしないのでバーベキューは勿論ない。また禁酒のため、テラスでビールやサングリアを飲むと言うこともない。まあいいか。冷蔵庫に残っていたサラミとサクランボウをバッグに入れ、スーパーマーケットで消化によさそうな豆のスープと森のきのこのスープ、フルーツ・ジュース、アイスティー、サラダなどを買い込んで、金曜の晩森の中のコッテージに着く。
日が長いため夜の9時頃でも森の黒々とした樹々の上の空はまだ明るいのだが、人気のない森に囲まれたコッテージはなんだか寂しい。瞑想合宿の始めの夜のように、持ってきた豆のスープとフルーツの簡単な食事をひとりテラスで取る。
豆のスープとフルーツをゆっくり味わいながら食べていると、尾崎放哉の、
せきをしてもひとり
墓地からもどつて来ても一人
という句(?)が思い浮かんで、自分も行く末はこんな風に一人で過ごしながら死んでいくのだろうと言うことに思い至り、今更ながら、ぞっと淋しくなる。食器を洗い、行水をし、戸締りをきっちりとして決めた通り9時半に就寝する。
***
この二日間は、仏陀の「アーナーパーナサティ・スートラ(出息入息に関する気づきの経)」に従って瞑想をすることにした。
インドの雨季は三カ月つづき、その間は旅ができないので修行者にとって集中的に瞑想するのにはもってこいの時期であったのだそうだ。その年仏陀は、サーヴァッティーの東の園での3カ月の修行がとてもうまく行ったので、雨季の第四番目の月にあたる白水連の月も修行を続行することにしたとある。白水連の月が終わる満月の日に、仏陀が修行者たちに語ったことを、弟子のアーナンダーがその他の弟子たちとまとめたのが、「アーナーパーナサティ・スートラ(出息入息に関する気づきの経)」であった。
中国を経由し日本では「安般念」と呼ばれる経典である。弘法大師空海は、高野山にて安般念に没頭中であることを理由に、天皇からの京への招待を無碍に断っている手紙が残っていると言う。(出典)
コッテージに着くと、居間のソファーの上に大きな白水連の画が飾ってあった。ということで、白水連の月の終わりに仏陀が説いたというアーナーパーナサティ・スートラの瞑想は、このソファーの上ですることにした。
アーナーパーナサティ・スートラ(出息入息に関する気づきの経) の全訳は、前掲書「呼吸による癒し―実践ヴィパッサナー瞑想」に掲載されている。
「瞑想修行者は、森に行き、木陰に行き、あるいは空き家に行って足を組んで坐り、身体を真っ直ぐにして、気づきを前面に向けて確立する。常に気をつけて、瞑想修行者は息を吸い、気をつけて瞑想修行者は息を吐く。
十六の考察 最初の四考察(身体に関する組み)
1. 息を長く吸っているときには、「息を長く吸う」と知り、息を長く吐いているときには、「息を長く吐く」と知る。
2. 息を短く吸っているときには、「息を短く吸う」と知り、息を短く吐いているときには、「息を短く吐く」と知る。
3. 「全身を感じながら息を吸おう。全身を感じながら息を吐こう」と訓練する。
4. 「全身を静めながら息を吸おう。全身を静めながら息を吐こう」と訓練する。
第二の四考察(感受に関する組み)
5. 「喜悦を感じながら息を吸おう。喜悦を感じながら息を吐こう」と訓練する。
6. 「楽を感じながら息を吸おう。楽を感じながら息を吐こう」と訓練する。
7. 「心のプロセスを感じながら息を吸おう。心のプロセスを感じながら息を吐こう」と訓練する。
8. 「心のプロセスを静めながら息を吸おう。心のプロセスを静めながら息を吐こう」と訓練する。
第三の四考察(心に関する組み)
9. 「心を感じながら息を吸おう。心を感じながら息を吐こう」と訓練する。
10. 「心を喜ばせながら息を吸おう。心を喜ばせながら息を吐こう」と訓練する。
11. 「心を安定させながら息を吸おう。心を安定させながら息を吐こう」と訓練する。
12. 「心を解き放ちながら息を吸おう。心を解き放ちながら息を吐こう」と訓練する。
第四の四考察(智慧に関する組み)
13. 「無常であることに意識を集中させながら息を吸おう。無常であることに意識を集中させながら息を吐こう」と訓練する。
14. 「色あせていくことに意識を集中させながら息を吸おう。色あせていくことに意識を集中させながら息を吐こう」と訓練する。
15. 「消滅に意識を集中させながら息を吸おう。消滅に意識を集中させながら息を吐こう」と訓練する。
16. 「手放すことに意識を集中させながら息を吸おう。手放すことに意識を集中させながら息を吐こう」と訓練する。」
姿勢を正して座り、ただひたすら自分の呼吸の出入りを観察するというだけのことである。瞑想と瞑想の間に、森を散歩したり、バスタブに張った水で沐浴をしたり、お茶を飲んだり、軽い食事をしたりする間も常に呼吸を意識するようにする。
そうするうちに、心がだんだんと静かになってきて、呼吸の観察が鋭くなり、集中力が増してくるような気がする。
「修行にとりつかれて、何かを獲得しようという考えが潜入してくる典型的な場面のひとつは、呼吸と共にとどまることを仕事にしてしまうときです。(・・・)呼吸と共にあるときは成功で、そうでないときは失敗なのだと、すぐに成功や失敗のドラマを作り上げてしまいます。実際には、呼吸と共にあること、心がさ迷い出してしまうこと、さまよったことを知ること、穏やかに戻ってくること、そのすべてのプロセスが瞑想なのです。」
(「呼吸による癒し―実践ヴィパッサナー瞑想」p.49)
瞑想中、色々な思いが頭をよぎり、また、呼吸に戻ってきた。一日目には、心の中に、かき回した水の中のように色々なものがただよっていたのだが、二日目にはそれらの動きがだんだんと目で追えるようになり、次第に、一つ一つが、心の底に沈澱して行った。
夕方になり、木々の間を巣に戻る鳥の騒がしい鳴き声に交じって、林の向こうの隣のコッテージからテラスに出た子供たちの叫び声、グラスやフォークを並べる音、バーベキューの良い匂いがただよいはじめたが、うるさいとも、お腹がすいたとも思わなかった。鳥の声と、子供の声、バーベキューの匂い、暮れてゆく森、明るい空、ただただそれらが懐かしく、幸せだった。
JUGEMテーマ:スピリチュアル
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